CPU実験室

誰も見向きもしない古いCPUをいじって動かしてみようというプロジェクトです

OPアンプ差し替え

修理完了した安定化電源ですが無負荷状態だとわずかに発振していることがわかりました。約1MHzで0.4Vp-pくらい乗っています

フィードバックに入れた位相補償用のコンデンサの値を変えてみるのがいいのでしょうが一度組込んだ制御基板を取り出すのは異様に大変です。オペアンプによる位相余裕度の違いで何とかいけないかとオペアンプの差し替えをしてみました

 

部品箱から探して、出てきた8ピンDIPの手持ちオペアンプがこれです

左上からNJM2122、NJM7032、NJM4558、NJM4580

左下からLM6361、NE5532、OP27、LMC6482 といったところです。これらをとっかえひっかえしてみると(パタンは両用設計なのでシングル/デュアルは問わない)まず単電源動作をうたってないものはアウト。入出力0V付近での動作を保証してないので出力0Vに近づけると突然最大出力に跳躍したりして危険だし、さらにRtoRでないと2~3Vまでしか絞ることができません。また無駄に高速なオペアンプは発振しまくり、ということで残ったのはCMOS高精度オペアンプLMC6482でした。これは現状のLMC6081とデータシート上のスペックはほとんど同じなのですが、何故か発振はしないのでこれに差し替えておきます

 

制御基板入れ替え

電源制御基板の入れ替えが完了しました。配線引き回しが汚いのは勘弁です。

出力電圧は0~14V。オペアンプがRailtoRailなので0Vまで絞れました。

電子負荷より先に電源ができてしまったので抵抗を負荷にランニングテストしています。5Ωに5Vかけて1A出力、メータの指示も合ってます。

 

出力のノイズですがACカップリングで10mVp-pくらい観測されます。メーカ製シリーズドロップ電源が0.5mVrmsくらいのカタログ値なのでかなり大きく見えますが、そもそもオシロのチャンネル残留雑音がすでに10mVp-pくらいあるので良しとしておきます。50Hzを全波整流した100Hzのリップルもわずかに出ています

 

電源分解

制御基板を取り出すため分解します。

前後のパネルは取り外せるようになっていて組立て・メンテが容易。さすがメーカ製のケースはよくできてます

 

これが取り出した制御基板。油のようなものでべっとり濡れていて特有のなまぐさ臭で電解コンデンサの液漏れですね。左手前のコンデンサ防爆弁が膨らんでいるのが判ります

 

自作電源修理

VFD電源をいじっているうちに安定化電源と電子負荷の制御基板が出来上がってきてました

 

修理しようとしている電源装置がこれです。しっかりとしたケースに入っていてちょっと高級な西澤電機製アナログパネルメータが付いてます。ガワと機構部品はもったいないのでそのまま流用します。

 

 

中身はこんな感じ。トランス、ブリッジ、平滑コンデンサ、パワートランジスタといったパワー系はおそらく大丈夫でしょう。トランスは何かのジャンク品で12V12A=144VAにしてはサイズが小さくて怪しげですがどうせなら電圧が20Vくらい欲しかったところです。

秋月のキットをそのまま使っている制御基板のみ入れ替えてしまいます。

 

VFDモジュール完成

VFDモジュールへの電源の実装はこんな感じになっています

 

 

真横から見たところ。わかりにくいですがPICの真裏に47uFの電解コンをパスコンとして追加、基板自体はピンヘッダを使ってプラグイン方式にしました。トランスが最適化できれば容易に交換できます。なにしろコアはあと9組、基板に至っては59枚もありますし。

 

かんじんの点灯状態ですが、ムラなく十分な輝度が出ました。スモークフィルタを前面に置けば完璧です

 

ヒータ電圧は念のためアナログテスタで測ってみましたがAC3Vぴったり。出力波形が正弦波ではないので真の実効値とは違いますがだいたい定格に近いといっていいでしょう

ちなみにVFD電源2次出力の電流は19mA、VFDモジュール全体の消費電流は約150mAでした

VFD電源いちおう完成

トランスを少し巻きなおしました。2次出力を26Vにするとその時点でヒータ巻線の3次出力が3Vrmsくらいになったのでこのまま2次を27~28VになるようにDUTYを上げるとヒータ電圧が定格を越えるかもしれません。12回巻×2を10回巻×2にしました。

巻き直し後のトランスの実測値。巻が少ないところは理論値に近いですが2次巻の150回はカウント間違えたかも。

これを電源基板に載せてVFDモジュールに実装。電源基板出力端で2次出力Va27.6Vに合わせこみました。ADCとの比較定数VOUTと負荷がかかった状態でのVaの関係はVa=0.054*VOUT-0.24 とリニアな関係になったのでPICのプログラムに      #define VOUT 516  を埋め込んでいます  

 

 

この状態での各種波形ですが、先ずはPICのPWM出力。20kHzでDUTYは約40%で安定しています。

 

グリッドドライブ波形。波高値は約26.6V出ています。電源出力との約1Vの違いは桁ドライブのトランジスタアレイTD62783の飽和電圧でこれはうっかりしていました。

飽和電圧込みでVaはさらに上げて28~29VにすればいいんでしょうがVOUTをその設定にするとリニア制御領域を外れるのかハンチング動作するようになり出力が安定しないのでこれで良しとしておきます。2次巻線をもう少し増やすといいのかもしれません。

 

ヒータ負荷がかかった状態での3次出力です。矩形波を少し削ったような波形で約8Vp-pでています。

これの真の実効値を測定するのは難しいですが、図形的にVrms=√(∫v^2(t)dt/T)を机上計算してみると3.5~3.6くらい。ヒータの定格値はAC3Vrmsなのでまぁまぁなところでしょう。

ということで各出力、ほぼ希望通りのものが得られたのでいちおう完成とします。

今回ドライブ回路設計は教科書通りで2次巻線のフィードバック制御も割りとうまくいきましたが、非安定の3次巻線は難しいところです。3次巻線電圧は2次出力の設定電圧、消費電流(DUTY比)、3次巻線自身の消費電流に影響受けるので負荷をつないだ状態でカット&トライするしかありません。

もっとも非安定のACのまま使うのはVFDのヒータ用くらいで、本来は取り出したACを全波整流、3端子レギュレータで安定化して絶縁電源として使うのが有用かもしれません