CPU実験室

誰も見向きもしない古いCPUをいじって動かしてみようというプロジェクトです

入力ピン処理

 

 uPD78C10ボードでRAMのアクセスができなかった件ですが、そういう状態だったとするとモニタすら起動しない(モニタプログラム内のスタック操作:PUSH/POPCALL/RETもうまくいかない)という気がします。実際にはuPD78C10内蔵のRAM領域(0xFF00-0xFFFF)にスタックの底を設定していたのでセーフだったということになります。モニタが動いてなかったら原因がわかるのに時間がかかっていたかもしれません。

ところで入力ピンの浮きでこのようなことが本当に起きるか試してみました。MOSの超高入力インピーダンスの入力をOPENにしておくのは本来御法度ですが以下のような回路を組んでみます。OPENにするピンにつながるパッドやICのパッケージによって浮遊容量や漏れ電流に影響があると思われるので同じワンゲートロジックにしてあります。

 

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FGを接続する前、2つの入力ともOPENになっていると基板に手を近づけただけで出力に電源周波数の50Hzの方形波が現れるほどインピーダンスが高い状態です

 

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片方の入力をOPEN、もう片方にTTLレベルの10kHzを注入した状態です

上側ch1:出力 下側ch2:入力

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電源投入後、最初出力はH状態(等価的にOPENピンがL)ですが数秒後に出力に波形が現れてきました。これはuPD78C10ボードでの挙動:最初波形が出ていてしばらくしてH固定になる・・とは逆ですがこれはデバイスのばらつきや実装状態によっても変わってくるかもしれません。 

OPENピンの等価的な状態遷移はきわめて不安定で、出力側も変な状態が続く場合があります。

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あたりまえですがMOSの入力ピンはOPENのまま放っておくと、チャージやノイズで容易に影響を受けるし静電破壊するかもしれないのでちゃんと処理しなければだめということです。

よく回路がうまく動かないとき、電源投入後機械が「暖まってくると」動くようになる/動かなくなるとか、基板むき出しでは動いていたのにケースに入れたら動かなくなるなんていう状況がしばしばありますが、多分に入力ピンの未処理という原因が含まれているかもしれません。